金型設計とは?種類や仕事内容、必要な知識・スキル、将来性について解説
「金型設計はどんな仕事?」「求められるスキルは?」「将来性はある?」そんなお悩みを感じてはいませんか。
金型設計とは、素材の流動性や塑性といった特性を活かし、成形加工によって製品を効率的に大量生産するための金型を設計する仕事です。日本はかつて「金型大国」と言われていた時代があり、現在でも金属用プレス型や鋳造型には高い需要があります。
この記事では、金型設計の仕事内容や求められるスキルについて解説します。金型設計の仕事に興味がある人は、この記事を参考に、実際の求人も見てみてください。
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|金型設計とは?
そもそも「金型」とは、金属や樹脂、セラミックなどの素材を特定の形状に成形するための型のことです。金型は製品の形状を正確に再現する役割を果たし、製品の品質向上や大量生産などに大きく影響します。
金型設計とは、この金型を効率的かつ効果的に作り、製品を大量生産するための基盤となる型を設計する仕事です。金型設計者は、製品の形状やサイズ・材料特性を考慮して、最適な設計をする必要があります。
今回は5種類の金型について紹介します。
金型の種類 | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|
プレス用金型 | 原料を上下にプレスして形成する | ・自動車のボデーパネル ・金属製の食器 |
鋳造用金型 | 溶かした金属を流し入れて形成する | ・エンジンブロック ・バルブ |
鍛造用金型 | 金属を加熱し、圧力を加えて形成する | ・自動車のクランクシャフト ・歯車 |
プラスチック用金型 | 溶かしたプラスチックを流し入れて形成する | ・スマートフォンケース ・ペットボトル |
アルミダイカスト用金型 | 溶融アルミニウムを高圧で注入して形成する | ・カメラ ・電動工具のボディ |
金型設計と機械設計の違い
金型設計と機械設計は、混同されやすい職種ですが、目的や役割には以下のような違いがあります。
職種 | 目的・役割 |
---|---|
金型設計 | ・機械設計で設計した製品を大量生産できる金型を設計する ・特定の成形プロセスに特化している ・特定の製造プロセスに関する深い理解と技術力が求められる |
機械設計 | ・さまざまな製品をゼロから設計する ・広範な機械システムの設計に関わる ・幅広い知識と創造性が求められる |
金型設計と機械設計は製造業で異なる段階の重要な役割を果たしており、補完し合う関係にあります。
|金型設計の4つの仕事内容
金型設計の主な仕事内容は以下の4つです。
- 打ち合わせ・初期検討
- 設計図作成
- プログラム作成
- 組み立て・最終チェック
金型設計の仕事内容の理解を深めることで、転職後のミスマッチを減らせます。転職の際には、培ってきたスキルをどの領域で活かせるかを考えておきましょう。
1.打ち合わせ・初期検討
作りたい製品の概要を決定し、図面情報や金型設計に必要な詳細な情報を確認する工程です。打ち合わせを繰り返し実施し、金型の種類や細かい仕様を検討・修正し、設計図作成に向けての準備を進めていきます。
また、生産効率を考えるうえでは、製造量の目標値を設定するのも重要です。高品質な金型設計をスムーズに進めるためには、初期検討で丁寧な意見の擦り合わせが欠かせません。
2.設計図作成
金型の仕様が決まったら3DCADを使用して設計図の作成に取り組みます。クライアントの要望を考慮したうえで、製品の強度やコスト・機能性などを踏まえて設計を進めなければなりません。
以下のポイントを意識して、精度の高い製品設計を行いましょう。
種類 | 内容 |
---|---|
抜き勾配 | 型から製品を取り出しやすくするための傾斜を設定する |
肉厚 | 温度変化で膨張・収縮が起こる樹脂の厚みを調整する |
パーティングライン | 金型の分割部分をできる限り平らにして、製品の最も外側に合わせる |
アンダーカット | 製品の一部に凹凸や横穴がある場合、開き口の設定をする |
角R | 安全性と強度を高めるため、角の丸みを設定する |
公差 | 許容できる誤差範囲を決定する |
3.プログラム作成
金型の形を精密に整えるため、設計図の完成後に加工機械を用いてプログラミングをする工程です。以下の加工方法を適切に組み合わせることで、効率的かつ高精度な金型製作を可能にするプログラムを作成します。
加工方法 | 内容 |
---|---|
切削加工 | 切削工具を使用して金属などの加工物を削ったり切断したりする方法 |
研削加工 | 高速回転する砥石で工作物の表面を精密に削り取る方法 |
放電加工 | 加工対象の金属と加工機の隙間に放電を起こし、金属を溶かしながら加工する方法 |
プログラムが完成すると、金型の加工生産を開始できる状態になります。
4.組み立て・最終チェック
金型を生産したら、機械と人間によるダブルチェックを細部にわたって実施します。人力でのチェックには高い技術と豊富な経験が欠かせません。
熟練の技術者であれば、金型の表面の粗さや噛み合わせの精度など、あらゆる観点から入念な確認が可能です。最終チェック段階で、クライアントへ引き渡す前に問題がないかを徹底的に検証し、必要に応じて微調整や修正を加えます。
最終チェックで品質基準を満たしていると判断された金型は、実際の製品生産に使用されます。
|金型設計の将来性
金型設計は、新製品開発において欠かせないスキルであるため、将来性の高い仕事です。新たな製品が生み出され続けている限り、豊富な経験と専門知識をもつ金型設計者が欠かせません。
海外移転や他国企業の台頭により、金型大国として世界一の生産額を誇っていた当時よりも需要は減少していますが、樹脂製品における日本製の金属用プレス型や鋳造型の金型は高く評価され続けているのも特徴です。
また、高い技術が求められる金型設計は、熟練技術者の数が限られているため、職場を変えることでキャリアアップや待遇の改善も期待できます。
|金型設計に求められる4つの知識・スキル
金型設計には、以下の4つの知識・スキルが求められます。
- 金型素材に関する知識
- 機械工学に関する知識
- CADを扱うスキル
- コミュニケーションスキル
一つひとつのスキルを磨き上げることで、金型設計としても活躍しやすくなるでしょう。
1.金型素材に関する知識
金型設計において、素材の選択は製品の品質と生産効率につながるため、金型素材の種類と特性の理解が欠かせません。金型に使用される主な素材は、以下のとおりです。
金型素材の種類 | 特性 |
---|---|
工具鋼 | 耐摩耗性や靭性に優れた鋼材 |
ダイス鋼 | 高い硬度と耐摩耗性を持つ鋼材 |
高速度鋼 | 高温での硬度保持に優れる鋼材 |
超硬合金 | 極めて高い硬度と耐摩耗性を持つ鋼材 |
セラミックス | 耐熱性や耐食性に優れる鋼材 |
また、以下のような熱処理や表面処理が、金型性能に与える影響についての理解も求められます。
- 焼入れ・焼戻し:硬度や強度を調整する
- 窒化処理:表面硬度を向上させる
- PVDコーティング:耐摩耗性や潤滑性を向上させる
その他にも、素材の加工性(切削性・研削性・放電加工性)も把握し、設計に反映しなければなりません。
2.機械工学に関する知識
金型設計には、以下のようなさまざまな機械工学の知識が求められます。
知識 | 内容 |
---|---|
材料力学 | 金型の強度や変形を計算して、適切な材料選択や構造設計をする |
熱力学 | 金型内の熱移動や分布を理解することで、冷却システムの設計に役立つ |
流体力学 | 樹脂の流動性や金型内の挙動を予測し、成形品の品質向上に貢献する |
加工技術 | 金型の製作方法や加工精度への理解を深める |
成形加工学 | プラスチックや金属の成形メカニズムを理解して、最適な金型設計をする |
また、機械設計・製図の知識も金型の構造設計や図面作成には必要です。機械工学に関する知識を総合的に活用することで、高品質かつ効率的な金型設計ができるようになります。
3.CADを扱うスキル
金型設計では、CADを利用して精度の高い設計図を作成するため、基本的なCADの知識や操作スキルを身に付ける必要があります。主なCADツールは以下のとおりです。
CADツール | 特徴 |
---|---|
AutoCAD | ・図面作成に適している ・操作方法が比較的わかりやすい |
SolidWorks | ・立体的な部品設計を得意とする ・製品の動きをシミュレーションできる |
CATIA | ・複雑な形状の設計ができる ・製品の設計から管理までができる |
Fusion 360 | ・設計から製造まで幅広く対応している |
実務経験を重ねることでもCADのスキルは身に付けられますが、CAD利用技術者資格を取得することで、知識や技術をアピールできます。
4.コミュニケーションスキル
金型設計は、他部署との連携が求められるので、コミュニケーションスキルが欠かせません。さまざまな人と信頼関係を構築することによって、円滑に業務を進められます。
そのため、専門知識をもたない人にもわかりやすく説明するスキルが重要です。コミュニケーションスキルが高ければ、トラブルが発生したとしても迅速に解決につなげられるでしょう。
|金型設計の年収例
金型設計のビーネックステクノロジーズの年収例は以下のとおりです。
経験年数 | 年収例 | 内訳 |
---|---|---|
21年 | 654万円 | 月給43万円 +残業手当 +賞与年2回 |
24年 | 726万円 | 月給48万円 +残業手当 +賞与年2回 |
26年 | 798万円 | 月給53万円 +残業手当 +賞与年2回 |
※上記は、残業11時間分を含みます。年収例は一例であり経験やスキルにより異なります。
金型設計は、経験年数や業界によって年収が異なる傾向にあります。年収アップの転職を目指す場合は、スキルアップの観点も意識すると良いでしょう。
|金型設計に転職する際のポイント
金型設計に転職する際のポイントは以下のとおりです。
- 金型設計に活かせる資格を取得する
- エンジニアに強い転職サイトを利用する
ポイントを押さえることで、希望する企業への転職を実現させやすくなるでしょう。
金型設計に活かせる資格を取得する
金型設計に活かせる以下のような資格を取得することで、知識やスキルをアピールできます。
資格 | 特徴 |
---|---|
3次元CAD利用技術者試験 | ・CADの操作スキルや製図スキルが求められる ・2級は基礎知識が問われる ・1級・準1級は実際のモデリング作成能力や形状認識能力が問われる |
金型製作技能士 | ・金型製作に必要な技能と専門知識を証明する国家資格 ・「金型製作」の技能検定試験に合格する必要がある ・2級で2年以上、1級で7年以上、特級で1級合格後5年以上の実務経験が必要 |
※参照:中央能力開発協会
エンジニアに強い転職サイトを利用する
エンジニアに強い転職サイトを利用することで、金型設計の求人を効率良く探せます。一般的な求人サイトでは、エンジニア向けの求人が少ないので、金型設計の求人を見つけるのが難しい場合もあるでしょう。
ビーネックステクノロジーズでは、全国7,000件以上の機械や電気・IT領域の求人を扱っており、金型設計に特化した検索が可能です。エリアや求人条件だけでなく、詳細な職種での絞り込みができるため、条件の良い金型設計の求人を見つけやすいでしょう。
またエンジニア経験がない社員向けの研修として、機械・電気分野の基礎知識を学べる当社研修センターでの「ものづくり研修」や、オンラインで実践的な知識・スキルが身に付く「C言語プログラミング研修」などの成長をサポートする環境も整っています。さらに約2,000種の研修講座や200種類以上の資格取得サポートをしているため、スキルアップに挑戦したい方にもおすすめです。
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|金型設計のスキルを活かせる3つの職種
金型設計のスキルを活かせるのは、以下の3つの職種です。
- 機械設計エンジニア
- 生産技術エンジニア
- 品質評価・品質管理エンジニア
スキルを活かせる職種への転職であれば、異業種でも活躍できる可能性があるでしょう。
1.機械設計エンジニア
機械設計エンジニアは、さまざまな機械の設計・開発を担当する仕事です。金型設計で培った精密な3D設計のスキルと材料特性の知識を活かせるでしょう。
機械設計エンジニアの年収例は、以下のとおりです。
経験年数 | 年収例 | 内訳 |
---|---|---|
21年 | 654万円 | 月給43万円 +残業手当 +賞与年2回 |
24年 | 726万円 | 月給48万円 +残業手当 +賞与年2回 |
26年 | 798万円 | 月給53万円 +残業手当 +賞与年2回 |
※上記は、残業11時間分を含みます。年収例は一例であり経験やスキルにより異なります。
機械設計エンジニアの業務は幅広いため、複数のエンジニアで分担して仕事を進めるのが一般的です。そのため、金型設計で磨いたコミュニケーションスキルも活用できるでしょう。
以下の記事では、機械設計エンジニアの仕事内容や求められるスキル、役立つ資格などについて紹介しています。
関連記事:機械設計エンジニアの仕事内容|年収や転職に役立つスキル・資格も紹介
2.生産技術エンジニア
生産技術エンジニアは、生産工程の効率改善を通じて、コスト削減や生産期間の短縮を目指す仕事です。金型設計で身に付けた材料や成形プロセスに関する知識は、生産ラインの最適化に貢献できるでしょう。
生産技術エンジニアの年収例は、以下のとおりです。
経験年数 | 年収例 | 内訳 |
---|---|---|
10年 | 467万円 | 月給30万円 +残業手当 +賞与年2回 |
22年 | 604万円 | 月給40万円 +残業手当 +賞与年2回 |
26年 | 694万円 | 月給46万円 +残業手当 +賞与年2回 |
※上記は、残業11時間分を含みます。年収例は一例であり経験やスキルにより異なります。
生産技術エンジニアは、幅広い製品の製造に関わるため、金型設計で得たさまざまな知識を活用できるでしょう。
以下の記事では、生産技術エンジニアの仕事内容や年収例、向いている人などについて紹介しています。
関連記事:生産技術エンジニアの仕事内容|年収例や資格・将来性についても解説
3.品質保証・品質管理エンジニア
品質評価・品質管理エンジニアは、製品の品質基準の確認から出荷後の保証まで、幅広い工程に携わる仕事です。金型設計で培った製品の形状や材料特性に関する知識を、品質基準の設定や評価方法の開発に役立てられるでしょう。
品質保証・品質管理エンジニアの年収は、以下のとおりです。
経験年数 | 年収例 | 内訳 |
---|---|---|
12年 | 454万円 | 月給30万円 +残業手当 +賞与年2回 |
16年 | 519万円 | 月給34万円 +残業手当 +賞与年2回 |
26年 | 613万円 | 月給42万円 +残業手当 +賞与年2回 |
※上記は、残業11時間分を含みます。年収例は一例であり経験やスキルにより異なります。
品質管理エンジニアは、製造工程全体を通じて製品の品質に問題がないかを検証し管理します。一方で、品質保証エンジニアは、企画から生産、さらにはアフターサービスまでの広範囲をカバーする仕事です。
以下の記事では、品質保証に求められるスキルや資格などについて紹介しています。
関連記事:品質保証の転職は有利?強みとなるスキルや資格、おすすめの転職先を解説
|ビーネックステクノロジーズで金型設計への転職を成功させましょう
金型設計は、製品を大量生産するための金型の設計をする仕事です。設計には3DCADを使用するため、CADを扱うスキルが求められます。
また、機械工学や金型素材に関する知識も欠かせません。実務経験は必要ですが、金型製作技能士の資格を取得することで、転職の際にスキルをアピールしやすくなるでしょう。
ビーネックステクノロジーズなら、約2,000種の研修講座と200種類以上の資格取得サポートをしているため、継続的なスキルアップが可能です。機械や電気、IT領域を中心に全国7,000件以上の求人を掲載しており、大手メーカー1,080社以上とも取引実績があります。
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