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クルマの開発に深くコミットする。「テストドライバー」の仕事とは

※画像はイメージです。

大手自動車メーカーで実験・評価エンジニア(テストドライバー)として働く渡耒さん。自動車が設計された通りに走行できるかを実験・評価し、解析結果を設計担当者にフィードバックする業務に携わっています。決められた評価項目に沿って実験するだけではなく、「経験」や「感覚」も重要だという、テストドライバーの面白さや今後の展望について、話を聞きました。

自動車メーカー勤務
入社6年目(※)
渡耒 一記 Ikki Watarai

2018年に入社し、自動車部品メーカー2社での就業を経て、現職。大手自動車メーカーのパワートレイン開発・実験部で、主に軽自動車の実験・評価を担当している。
※2024年2月時点

まずは、渡耒さんがクルマに興味をもったきっかけを教えてください。

渡耒:きっかけは6歳上の兄です。兄は自動車整備士で、趣味で自分のクルマを改造していました。私は中学生の頃から兄の趣味を手伝うようになり、機械に興味をもち始めました。高校生になってからは、バイクの免許を取って自分でもマシンをいじっていくうち、エンジンに興味が湧いて。「将来は自分も自動車整備士になろう」と決意しました。

自動車整備専門学校卒業後は、整備士として14年間働いてきましたが、10年目頃から「このクルマはどうやって作られているんだろう」「未来のクルマを生み出す人たちってどんなことをしているんだろう」と考えるように。少しずつ「開発に携わってみたい」という思いが強くなっていきました。

開発の仕事について調べてみると、「実験・評価」の仕事があることを知り、中でも実車を使った実験・評価の仕事に携わりたいと考えました。いくつか派遣会社の面接を受けましたが、ビーネックステクノロジーズから紹介されたテストドライバーの仕事が、やりたいことにマッチしていると感じたんです。

当社に入社したのは30代半ば。自動車部品メーカー2社での就業を経て、大手自動車メーカーのパワートレイン※開発・実験部に配属となりました。現在は、主に軽自動車のテストドライバーを担当しています。

※エンジンで発生した回転エネルギーを、効率良く駆動輪に伝えるための装置類の総称。エンジンや電気モーター、クラッチ、トランスミッションなどが含まれる。

実験・評価・解析を繰り返し、クルマの開発を支える。

テストドライバーのお仕事について、具体的に教えてください。

渡耒:大まかな実験の流れは、①計画、②実施、③評価・解析です。
まず「計画」では、設計部門からの依頼を受け、実験内容を確認します。

「実施」では、私たちテストドライバーが実際に乗車し、評価項目に沿って実験を行います。走る・曲がる・止まるなどの基本的な動きに問題がないか、加速試験やハンドリング試験、音振レベルや乗り心地の測定など細かいところまでしっかりチェックします。実験では1日数百kmの距離を走行することもあり、体力や運転技術などのスキルも求められてきますね。

「評価・解析」では、実験で得られたデータを解析し、フィードバックを行います。実験結果が、基準となる指標内から外れた場合は、その原因を解析し設計部門に伝えます。その後、設計部門から別の条件での実験を依頼され、私たちが実施し再度フィードバックを行う……これを繰り返して、1台の自動車が完成に近づいていきます。

難しいのは「評価・解析」です。私たちが心掛けているのは“滑らかに走るクルマ”を作ること。評価項目に沿ったチェックだけでなく、テストドライバーの経験や感覚も重要となります。試験車両が設計上で最適な状態になっていた場合でも、実際に乗ってみると、設計者の想定とは異なるセッティングの方が走りやすい、といったこともあるんですよ。

テストドライバーの面白さややりがいはどこにありますか。

渡耒:自分が携わった自動車のCMが流れたり、街中で走っていたりするのを見かけた時は嬉しいですね。決められたことをやるだけではなく、開発に深くコミットできるのも、この仕事の面白いところです。

例えば、自動車には「エコ」「スポーツ」などのドライブモードが搭載されていますが、これらはノーマルモードと違って、基準となる指標が基本的にはありません。指標がない部分は、まさにテストドライバーが提案し、作り上げていくことができます。クルマのポテンシャルを踏まえて「こういう走りをしたら楽しいんじゃないか」「こんなセッティングをすれば気持ち良く走れるのでは」など、自分の考えをもとに走り方を追究できるのは醍醐味の1つですね。

お客さま一人ひとりに合ったクルマを作るのは難しくもあり、やりがいもあります。私が担当している軽自動車は、購入する年齢層が幅広いんですよ。例えば、30代のファミリー向けをコンセプトにした自動車に対し、若い方や年配の方から「運転しにくい」というフィードバックをいただくこともあります。その際は、実際にお客様が走った道路に行って運転し、再度評価を行うことも。現地で得られたデータを解析して設計部門にフィードバックし、改良につなげます。正解はないのかもしれませんが、可能な限り誰もが乗りやすいクルマを目指しています。

大切なのは、多くの意見に耳を傾ける姿勢。

今後の目標について教えてください。

渡耒:これからも、軽自動車の開発に携わっていきたいです。いろいろな方が乗っている、身近なクルマだからこそのやりがいがありますから。また、これからはEVの時代になっていきます。電気自動車の開発はまだ経験がないので、挑戦してみたいですね。

実験・評価エンジニアには、良い製品を作るため、1つの考えにこだわらず、さまざまな人の意見を聞く姿勢が大切だと感じます。ベテランエンジニアの意見はもちろんですが、運転経験が少ない新人エンジニアが、お客さまの声に近いリアルな意見を出してくれることもあるんですよ。どんな人でも優しく安全に乗れるクルマを目指して、今後もテストドライバーの仕事を続けていきたいです。

取材日:2024年1月30日


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