運用保守とは? システムの運用と保守を比較!向いている人も解説
ITエンジニアと一言でいっても、システムエンジニア、プログラマー、デバッガー、運用・保守とさまざまなエンジニアがいます。中でもシステムの「運用保守」とはどんな仕事でしょうか?
業務を行っている人以外は、具体的に理解している人は少ないかもしれません。実際は、システムの「運用」「保守」は異なる業務です。
本記事では、システムの運用・保守について具体的にどう違うのか、向いている人、年収例などをわかりやすく解説します。
目次
|ITシステムとは
世の中になくてはならないITシステム。何となくで理解している人も多いかもしれませんが、クレジットカードの決済システム、ATMなどの銀行のネットワークシステム、電気を発電所から企業や家庭に送電する制御を行う電力システム、電車の鉄道運行システム、病院の電子カルテシステムなど、ありとあらゆるものがシステムで成り立っています。
|運用保守の違い

システム「運用」や「保守」は、企業をはじめ私たちが生活するうえで欠かせないシステムを安定させるための重要な部分を担っています。しかし、この2つの単語は似ているようで、大きな違いがあります。
まず「運用」とは、日常的に業務システムが安定して稼働するように管理することです。一方で「保守」とは、システムにトラブルが起きた際にシステムを修理・改修し、早期に復旧を行うことです。詳しく見ていきましょう。
経済産業省「システム管理基準」
|運用とは
運用では、システムを24時間365日安定した稼働を維持させるために、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、サーバなど総合的に幅広く管理しなければなりません。システムの運用中は監視ソフトウエアで自動監視したり、稼働ログを確認し、常にシステムの状態をチェックしています。主に運用担当者は、顧客先に常駐して業務を行うことが多いのも特徴です。
主な運用業務の例
| 業務 | 業務詳細 |
| システム監視 | サーバやネットワークの状態を常時監視し、異常を早期に発見する。 |
| バックアップ管理 | データの定期的なバックアップを実施し、復旧手順を整備する。 |
| パッチ管理 | ソフトウェアやOSのセキュリティパッチを適用し、システムを最新の状態に保つ。 |
| ユーザー管理 | ユーザーアカウントの作成、変更、削除を行い、アクセス権を適切に管理する。 |
| 障害対応 | システム障害が発生した際のトラブルシューティングと復旧作業を行う。 |
| パフォーマンスチューニング | システムのパフォーマンスを分析し、最適化を図る。 |
| ドキュメント管理 | システム運用に関する手順書やマニュアルを作成・更新する。 |
| セキュリティ対策 | システムのセキュリティを強化し、脅威に対する対策を講じる。 |
| 定期点検 | システムの定期的な点検を実施し、問題の予防に努める。 |
| ユーザーサポート | システム利用者からの問い合わせやトラブルに対してサポートを提供する。 |
|運用業務の求人例
通信キャリア 無線基地局、及び、通信機器の24時間/365日の監視業務
・監視システムは通信キャリアの監視システム、及び、Zabbixを使用
・監視システムによるアラーム監視、異常検知
・障害内容の一次切り分けおよびトラブルシュート(手順書に基づく対応)
・関係部署へのエスカレーション
・障害対応結果の記録、報告(日報・週報・月報作成)
・軽微な設定変更、再監視手順の実施(当社承認済手順に限る)
・監視業務に関する改善提案(運用効率化・品質向上)
官公庁システムの運用業務
・シフトメンバー(交代制:24h/365日)
・定常作業の実施 ・電話応対
・指示下での障害復旧作業
メールサーバの運用業務
・各種サーバの状態監視と障害時の対応
・設定変更、パッチ適用
・利用者の問い合わせ対応
・上記の業務実施上の手順作成 ・顧客折衝、資料説明、MTG対応
・office365製品での資料作成
|保守とは

一方で保守は、単に故障したシステムを修理したり、復旧したりする作業だけではなく、システム全体の信頼性を高めるためのさまざまな取り組みを含んでいます。
| 業務 | 業務詳細 |
| 動作ログの分析 | システムの動作を記録したログを定期的にチェックし、過去の問題や異常を把握する。再発防止のためのデータを得る。 |
| 予防策の実施 | 障害発生前に予防的措置を講じる。システム設定の見直しやリソース使用状況の監視を行い、負荷を分散させる。 |
| 障害原因の特定 | 障害が発生した場合、その原因を迅速に特定し、問題の根本原因を理解することで改善策を講じる。 |
| システム設定の変更 | 障害の原因が特定されたら、必要に応じてシステム設定を変更し、性能向上や安定した動作を実現する。 |
| ソフトウェアのアップデート | システムを最新の状態に保つために、定期的にソフトウェアのアップデートを行い、セキュリティ向上や新機能追加を図る。 |
| サーバハードウェアのメンテナンス | サーバのハードウェアを定期的に点検・修理し、故障を未然に防ぐ。 |
| 老朽化した周辺機器のリプレース | 古くなった周辺機器を新しいものに交換し、システム全体の性能を維持・向上させる。 |
| ネットワークのメンテナンス | ネットワーク機器の点検や設定変更を行い、通信の安定性とセキュリティを確保する。 |
| セキュリティ管理全般 | システムのセキュリティポリシーを策定・実施し、脅威からシステムを保護する。 |
| バックアップなどの復旧作業 | データのバックアップを定期的に行い、障害発生時に迅速に復旧できる体制を整える。 |
| システムのアップデートや修正、変更、パッチ、リリース対応 | システムの機能改善やバグ修正を行い、常に最適な状態を維持する。 |
| データベースのチューニング | データベースの性能を最適化し、応答時間を短縮するための調整を行う。 |
| 新しいシステムやアプリケーションの導入 | ビジネスニーズに応じて新しいシステムやアプリケーションを選定・導入する。 |
| バグや不具合の原因究明 | 発生したバグや不具合の原因を特定し、修正するための調査を行う。 |
| 障害からの復旧作業 | システム障害発生時に迅速に対応し、業務を再開できるようにする。 |
|保守業務の求人例
物流システムの保守
・SOA(スクラッチ基幹システム)システム保守業務です。
・領域:受発注、在庫管理、マスタ、会計・問い合わせ対応、インシデント対応
・システム移行プロジェクトの参加・手順書作成
・システム変更プロセスの主導、管理、要件定義、海外開発チームへの要件伝達
・他複数システム移行などプロジェクト推進
金融系システムの保守
・脆弱性内容調査、資料作成
・適用可否の検討、適用時のシステム影響の調査
・手順書作成、サーバ適用
経理システムの保守
・SAP、BAJ(イントラマート)、BOFCシステムの各機能(モジュール)の保守
・機能は主に財務会計領域と管理会計領域、権限統制領域に分かれており、それぞれにアサインされる可能性があります。領域間でのローテーションもあります。
・業務遂行及び効率化をコンサルタントの業務管理に基づき、実施いただきます。
運用と保守は企業によって多少の定義の違いはあっても、どちらも目的がシステムを安定して稼働させることに変わりはありません。実際には、運用保守の作業内容や業務の切り分けも、組織の規模や企業の体制で違いもあり、中小企業では運用と保守の両方を兼務している担当部署も珍しくありません。
それでは、専門的な知識経験が問われる運用保守の仕事にはどのような人が向いているのでしょうか。詳しく解説します。
|運用保守に向いている人5選

・分析力がある人
・ルーティーンワークに抵抗がない人
・好奇心旺盛な人
・スタミナに自信のある人
・コミュニケーションスキルが高い人
分析力がある人
運用保守に向いている人の1つに分析力がある人があります。システムにトラブルが発生した際、さらなるトラブルを防止したり、再発を防いだりするためにも、まずは原因を究明しなければいけません。その際、「なぜトラブルが発生したのか」「どこに原因があったのか」などを分析することが求められるためです。またシステム監視をする中で、トラブルが発生しそうな箇所を見つけ出す力も必要になってくるでしょう。
ルーティーンワークに抵抗がない人
大規模なシステムでは日々システムの稼働状態をチェックするにしても対象も膨大です。毎日の仕事がルーティンワークばかりになりがちなため、変化が感じられないこともあるかもしれませんが、そうした場合でも忍耐強く確実に業務に取り組むことができる方が向いています。システムやネットワーク、サーバなどITシステムを安定して長期に稼働させるには、日々のメンテナンスや状態のチェックが必要不可欠なのです。
好奇心旺盛な人
システム運用保守はサーバやネットワーク、アプリケーション、OSなど、システム全般に関する知識・スキルが求められます。一方でシステムは日々アップデートされ、新たな知識を得ていく必要があります。近年ではクラウドを活用する企業が増加してきました。そのため、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドに関する知識・スキルも身に付けておくと、より将来性のある人材になれるでしょう。
スタミナに自信のある人
システムの監視では24時間365日稼働のシステムが多いため、夜勤やシフト制勤務、緊急対応での長時間労働もこなせる体力がある方が向いています。トラブルシューティング、定期的なメンテナンス作業など、継続的な業務が求められるので、長時間の集中力や迅速な対応が必要となるため、スタミナに自信がある人が良いでしょう。
コミュニケーションスキルが高い人
運用保守はシステム監視や安定稼働が中心ですが、システムに関する問い合わせや質問、障害が起きたときの的確な情報共有には、円滑なコミュニケーションが求められます。良好なコミュニケーションにより、問題解決や要件の明確化がスムーズに行われ、効率的に業務が遂行できるでしょう。さらに、周囲の意見を取り入れながら協力して作業を進める姿勢も大切です。円滑な連携を築くことができれば、トラブル発生時にも迅速で的確な対応が可能になり、システム全体の安定性向上に大きく貢献できます。
|運用保守の年収
令和6年賃金構造基本統計調査※1では、運用保守の平均年収は628万円となっています。国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」※2によると、日本人の年収の平均値は460万円であるため、運用保守の年収は高い水準にあると言えます。
※1.出典 令和5年分 民間給与実態統計調査
※2.出典 運用・管理(IT)|厚生労働省
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