世界に１台のショベルカー作り。20年以上味わってきたその楽しさを、多くの人に伝えたい。

大手建設機械メーカー勤務
入社13年目
新関 拓也 Takuya Niizeki
営業職を経てエンジニアとしてのキャリアをスタートし、2013年に入社。現在は大手建設機械メーカーに就業し、ホイール式油圧ショベルの設計に従事。車検、見積作成や部品の手配、さらにリーダーと幅広い業務で活躍中。
※2025年9月時点

｜「ものづくりに関わりたい」の思いで実現した営業職からのキャリアチェンジ。

図工や美術、料理など、作ることが大好きな子ども時代でしたね。中でも好きだったのがラジコンで、走らせるのに飽きたら分解してみたり。中学生の頃には、本格的なモデルを組み立てていましたね。高校時代には情報系の分野を学び、システムエンジニアやプログラマーを目指していましたが、卒業後は家族の影響もあって営業職の世界へ進みました。

営業の仕事は実績が目に見える点に面白さを感じていましたが、ワークライフバランスが取れない環境で体調を崩してしまったんです。これをきっかけに、自分の適性を見直した結果、ものづくりに関われる設計の仕事が合っているのではないかと考えたことが、エンジニアの道を選んだきっかけです。

それ以来20年以上、大手建設機械メーカーで油圧ショベルの設計に携わっています。最初の2年間は図面を起こす業務を担当し、3年目からは新機種の設計を行うように。ショベルの設計は初めてでしたから、最初は渡されたパーツカタログを読んでみても「何がわからないのかがわからない」といった状態。先輩方が丁寧に教えてくれ、業務を通じて知識が身に付いてきました。6年目以降は見積作成や部品の手配など、設計に関連する幅広い業務を経験でき、そのおかげで仕事の幅を広げていくことができました。

｜世界に1台だけのショベルカーを作り出す、そのすべての過程が面白い。

今の業務の中心は車検業務です。油圧ショベルには、戦車のようなベルト状の走行装置がついた「クローラー式」と、乗用車のようにタイヤで走行する「ホイール式」があります。私が長年担当してきたのは後者で、同じ仕様のショベルは1台とないと言えるほど、顧客の要望に応じて1台1台をカスタマイズしています。マニアックな仕様や特殊な部品を付けることも多く、そんな車体が安全に公道を走行できるかをチェックするのが車検の仕事です。

ホイール式は、クローラー式と比べ出荷台数が少ないのですが、やってみると、ホイール式ならではのマニアックさが面白いですね。例えば、ショベルの先端に取り付けるアタッチメント１つとっても、土を掘る用途だけではなく、コンクリートを砕くためのもの、サトウキビの収穫用に特化したものなどもあります。他にも、オペレーターが乗車する部分にガードを付けた林業向けのショベルや、クレーン車代わりにできるものなど、実にさまざまな仕様があるんです。

一度追究し始めるときりがなくて、「これで完璧」と言えることがないところ。それが、油圧ショベルを設計する醍醐味ですね。試作機を組み立てる段階で設計ミスが判明するようなピンチもありますが、トライ&エラーを繰り返しながら、完成に近づけていくための工程そものが面白くて。最初の試作機が動いた時、試験走行をする時、新機種に使う一点ものの部品が手元に届いた時、手掛けたショベルを街で見かけた時……もう、全部が楽しくてしょうがないんです。

｜これからも多くの人に伝えたい、エンジニアという仕事の面白さ。

私は現在、リーダーとして30人ほどのメンバーのまとめ役を担っています。彼らには、「仕事の楽しさ」を伝えていきたいですし、そのためにも積極的に若手とコミュニケーションを取りに行くようにしています。
若手を育てる上で心がけているのは、相手の意見に対して否定をしないこと。彼らの意見がもし間違っていたとしても「確かにそういう考え方もある」と受け止めた上で、「別の角度から考えてみてもいいのでは？」と、変化球を投げるようにしています。彼らの視野を広げながら、よりたくさんの選択肢の中から良い方法を一緒に探し出す。これはマネジメントにおいても、エンジニアという仕事においても、重要な考え方だと思います。
自分がこの仕事に就いている間は、若い人たちにたくさんのことを伝えていきたいですし、何より「エンジニアの仕事が楽しい」と思える人たちを増やしていきたいと思います。

取材日2025.9.5

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