「インフラ設計とはどんな仕事?」
「サーバやネットワークの設計は何をするの?」
「インフラエンジニアの設計業務について詳しく知りたい…」
上記のような疑問をおもちの方もいるでしょう。
インフラ設計とは、ITサービスや社内システムが安定して動作するための基盤を計画し、サーバやネットワークの構成、セキュリティ対策などを設計書として整理する工程です。
システムの信頼性や将来の拡張性に大きく関わるため、インフラエンジニアの中でも重要な役割を担う仕事とされています。一方で、設計には幅広い知識が必要であり、構築や運用との違いがわかりにくいと感じる人も少なくありません。
本記事では、インフラ設計とは何かをはじめ、仕事内容や構築・運用との違い、設計の流れ、メリット・デメリット、失敗しないためのポイントまで解説します。
インフラ設計のエンジニアに興味がある人や、エンジニアとしてのキャリアを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
|インフラ設計とは?
インフラ設計とは、インターネット上のサービスや社内システムが安定して動作するための土台を考える作業です。ビジネスで実現したい目的をもとに、コンピューターの配置や通信の仕組みなどを具体的な技術要件として整理し、誰が見ても理解できる形で設計書にまとめます。
単に機器を設置するだけではなく、システムが長く安定して動き続けるためのルールを決めることもインフラ設計の重要な役割です。ネットワークの構成、コンピューターの配置、セキュリティ対策、監視やログ管理など、幅広い要素を整理して全体の仕組みを設計します。
設計を行わないままシステムを構築すると、特定の担当者しか仕組みを理解していない状態になりやすく、変更やトラブルが発生した際に対応が難しくなります。
そのためインフラ設計は、関係者全員が同じ認識をもって作業を進めるための共通の基準としても、重要な役割をもっています。
以下の記事ではITインフラエンジニアについて紹介しています。
関連記事:ITインフラエンジニアとは?種類や仕事内容、必要なスキル、資格を紹介
|インフラ設計の仕事内容
インフラ設計の仕事は、システムが安定して動作するための技術的な方針を決め、その内容を設計書として整理することです。サービスの信頼性や将来の運用コストにも影響するため、重要な役割を担う工程といえます。
- サーバやクラウドの使い方を決める
- 社内やサービスをつなぐネットワークを考える
- パソコンやサーバを動かす基本ソフトを選ぶ
- 情報を守るためのルールを決める
ここでは、インフラ設計で主に行われる仕事内容について解説します。
サーバやクラウドの使い方を決める
インフラ設計では、システムを動かすためのサーバ環境をどのように用意するかを決めます。具体的には、自社の施設に物理的な機械を設置する方法と、インターネット経由で利用するクラウドサービスを利用する方法のどちらを採用するかを検討します。
クラウドを利用する場合は、提供事業者と利用者の間で責任を分担する「責任共有モデル」という考え方が基本です。一方で、システムを細かく制御したい場合やコストを厳密に管理したい場合は、自社で機器を用意して構築する方法が選ばれることもあります。
サービスの目的や運用方針に合わせて適切な方式を決めることが重要です。
社内やサービスをつなぐネットワークを考える
ネットワーク設計では、システム同士が安全かつ効率的に通信できるように、データの通り道を整理します。これは、情報の交通整理を行う道路を設計するような役割です。たとえば、アクセスが集中した場合に通信の負荷を分散する仕組みや、遠隔地の利用者にも素早くデータを届ける配信ネットワークの活用などを検討します。
通信の経路が曖昧なままシステムを構築すると、本番運用後に接続速度の低下や通信トラブルが発生する可能性があります。そのため、将来の拡張も見据えながら、シンプルで拡張しやすい構成を設計することが重要です。
パソコンやサーバを動かす基本ソフトを選ぶ
サーバやパソコンを動かすためには、基本ソフトであるオペレーティングシステムを選び、その設定内容を決める必要があります。インフラ設計では、これらの設定値や構成を整理し、パラメータシートとして一覧化します。
一覧表を作成しておくことで、誰が作業を行っても同じ設定が再現できるようになります。近年では、こうした設定内容をコードとして管理し、自動的に環境を構築する方法も一般的になっています。手作業での設定はミスが発生しやすいため、再現性を高める仕組みを設計段階から取り入れることが重要です。
情報を守るためのルールを決める
インフラ設計では、データやシステムを外部の攻撃から守るためのセキュリティルールも決めます。たとえば、アクセス権限の管理や通信の制御など、情報を保護するための仕組みを設計します。
システムの信頼性を高めるためには、稼働率などの基準を設定することも重要です。基準をもとに、必要な構成やセキュリティ対策を検討します。
一方で、セキュリティを強化しすぎると作業効率が低下する可能性もあります。そのため、操作ログを一定期間保存するなど、セキュリティと業務効率のバランスを考えたルール作りが必要です。
以下の記事ではインフラエンジニアの仕事内容について紹介しています。ぜひご参考ください。
関連記事:インフラエンジニアの仕事内容をわかりやすく解説!必要なスキル・年収・資格も紹介
|インフラ設計と構築・運用との違い
インフラの仕事は大きく分けて次の3つの工程になります。それぞれ役割が異なりますが、これらが連携することで安定したシステムが実現します。
- 設計:要件を具体化し方針と仕様を確定する工程
- 構築:設計書どおりに実装し検証する工程
- 運用:監視と改善で安定稼働を維持する工程
それぞれの工程の違いを理解することで、インフラエンジニアの仕事全体を把握しましょう。
設計:要件を具体化し方針と仕様を確定する工程
設計は、ビジネスの目的や要求をもとにシステムの方針や仕様を決める工程です。必要な性能や信頼性、障害時の対応方法などを整理し、それらを設計書としてまとめます。
将来のコストやシステムの品質に大きく影響する工程です。たとえば、稼働率などの品質目標を具体的な数値で設定することで、必要な構成や設備の規模を検討できます。
設計が不十分な場合、後から大きな修正が必要になる可能性があるため、慎重な検討が求められます。
構築:設計書どおりに実装し検証する工程
構築は、設計書の内容に基づいて実際にサーバやネットワークを設定し、システム環境を作り上げる工程です。作業は手順書に沿って進められ、機器の設定やソフトウェアの導入などを行います。構築後にはテストを実施し、設計どおりにシステムが動作するかを確認します。問題が見つかった場合は修正を行い、安定した状態で稼働できるように調整が必要です。
設定作業は手作業によるミスが起きやすいため、コードによる自動化を取り入れることで品質を安定させる方法も活用されています。
運用:監視と改善で安定稼働を維持する工程
運用は、稼働しているシステムを監視し、安定した状態を維持するための活動です。システムに異常が発生していないかを確認し、問題が発生した場合には原因を調査して対応します。
また、操作ログを保存することでトラブルの原因を追跡できるようにするなど、継続的な管理も必要です。さらに、バックアップや復旧手順を整備しておくことで、障害が発生した場合でも迅速にサービスを復旧できます。 システムの安定性を長期的に維持するための、重要な工程といえるでしょう。
|インフラ設計の仕事の流れ【5STEP】

インフラ設計は、要件の整理から運用方針の決定まで、複数の工程を順番に進めていく作業です。これらの手順を踏むことで、トラブルの少ない安定したシステムを作れます。
- 要件定義で目的と制約条件を整理する
- 基本設計で全体構成と方式を決める
- 詳細設計で設定値と手順を具体化する
- テスト設計で検証観点と合格基準を定める
- 運用設計で監視やバックアップ方針を固める
ここでは、一般的なインフラ設計の流れを5つのステップに分けて解説します。
1.要件定義で目的と制約条件を整理する
インフラ設計で最初に行うのが要件定義です。要件定義では、システムで実現したい目的や必要な機能、予算や納期といった制約条件を整理しましょう。ビジネスの目標を技術的な条件に落とし込み、関係者の認識をそろえることが重要です。
また、システムの信頼性や性能などの品質目標も検討します。すべての要望を同時に満たすことは難しいため、優先順位を決めながら現実的な計画を立てることが求められます。
2.基本設計で全体構成と方式を決める
基本設計では、システムの全体構成やネットワークの仕組みなど、大まかな設計方針を決めましょう。サーバ構成や通信方式、セキュリティ対策などを整理し、システムの全体像を設計図としてまとめます。
また、システムの稼働率などの目標を設定し、それに応じた構成を検討する形です。非機能要求グレードのような基準を踏まえながら、コストと信頼性のバランスを考えて設計を行います。
3.詳細設計で設定値と手順を具体化する
詳細設計では、実際の構築作業で必要となる設定値や作業手順を具体的に決めましょう。サーバやネットワークの設定内容をパラメータシートとして整理し、作業者が迷わず設定できるようにします。最近では、設定内容をコードとして管理する手法も広く利用されています。コード管理を行うことで、誰が作業しても同じ環境を再現できるようになり、作業ミスの防止にもつながるでしょう。
4.テスト設計で検証観点と合格基準を定める
テスト設計では、システムが設計どおりに動作するかを確認するための試験項目を決めましょう。障害発生時の動作や、利用者が集中した場合の負荷など、さまざまな状況を想定して検証方法を整理します。あらかじめ合格基準を定めておくことで、テスト結果を客観的に評価できます。とくにバックアップからの復旧手順など、サービス継続に直結する部分の検証は重要なポイントです。
5.運用設計で監視やバックアップ方針を固める
最後に、システム稼働後の管理方法を決める運用設計を行いましょう。監視の方法やバックアップの取得方針、トラブル発生時の対応手順などを整理します。また、操作ログを保存してトラブルの原因を追跡できるようにするなど、長期的な管理体制も整備します。こうした運用のルールを設計段階で決めておくことで、システムの安定運用につながるでしょう。
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|インフラ設計の仕事を行うメリット
インフラ設計を丁寧に行うことで、主に次のようなメリットを得られます。
- 障害発生リスクを下げて安定稼働につながる
- リソース最適化で運用コストを抑えられる
- 拡張しやすく変更に強い基盤になる
ここでは、インフラ設計を行うメリットを解説します。
障害発生リスクを下げて安定稼働につながる
インフラ設計を行うことで、システムに障害が発生するリスクを事前に把握し、対策を講じることが可能です。システムの構成や運用ルールを整理して設計書にまとめることで、故障の原因となる可能性がある部分をあらかじめ確認できます。
また、稼働率などの品質目標を数値として設定することで、システムの信頼性を具体的に検討することが可能です。目標をもとに設計を行うことで、安定したサービス運用につながります。
一方で、設計を行わずにシステムを構築すると、仕組みを理解している担当者が限られてしまう可能性があります。その結果、トラブル発生時に対応が遅れるリスクも高まるため、設計段階での整理が重要です。
リソース最適化で運用コストを抑えられる
インフラ設計を行うことで、必要な計算能力や保存容量を適切に見積もり、無駄なコストを削減可能です。システムの構成や利用状況を考慮してリソースを計画することで、必要以上の設備やサービスを利用する状況を避けられます。
クラウド環境では、不要な設定や過剰なリソースを利用したまま運用するとコストが増える可能性があります。そのため、設計段階で適切なリソース量を検討しておくことが重要です。
ただし、コストだけを重視すると性能が不足する可能性もあります。将来的な通信量の増加などを考慮し、段階的に拡張できる計画を立てることで、コストと性能のバランスを保てます。
拡張しやすく変更に強い基盤になる
インフラ設計を行うことで、将来的なサービス拡張やシステム変更にも対応しやすい基盤を構築可能です。構成をあらかじめ整理しておくことで、機能追加や環境変更が必要になった場合でも柔軟に対応できます。
また、インフラ構成をプログラムのように記述して管理する手法であるIaC(Infrastructure as Code)を利用することで、同じ環境を再現しやすくなります。IaCにより手作業による設定ミスを減らし、環境構築の透明性を高められるでしょう。
新しい技術を導入する場合は学習の手間も発生しますが、将来の機能追加や環境変更をスムーズに行うためには、柔軟に拡張できる構成を選択しておくことが重要です。
|インフラ設計の仕事を行うデメリット
インフラ設計には多くのメリットがありますが、次のような課題も存在します。
- 設計に時間と工数がかかり初期コストが増える
- 要件の前提が変わると設計の手戻りが発生する
- 高度な知見が必要で属人化しやすい
デメリットを理解したうえで計画的に設計を進めることで、プロジェクト全体のリスクを抑えましょう。
設計に時間と工数がかかり初期コストが増える
インフラ設計では、システムを構築する前に多くの検討や調整が必要です。構成やルールを整理するための作業が多いため、実際にシステムを構築するまでに時間と工数がかかります。
設計段階での判断は、システムの信頼性や将来のコストに大きく影響します。そのため、設計に十分な時間をかけることが重要ですが、早くサービスを開始したい場合には負担に感じられることもあるでしょう。
限られた予算や期間の中で進める場合は、すべての品質を最高水準にするのではなく、ビジネスの重要度に応じて設計の範囲を調整することが必要になります。
要件の前提が変わると設計の手戻りが発生する
設計を進めている途中でビジネスの目標や予算が変更されると、それまでに作成した設計内容を見直す必要が生じることがあります。要件が変わるとシステム構成やネットワーク設計、セキュリティ方針などの再検討が必要になるケースも少なくありません。
とくに、お客様の要望と技術的な仕様を十分に整理しないまま設計を進めると、後から要求が増えて計画全体が見直しになる可能性があります。
変化の多いビジネス環境ではこうした変更は避けられないため、重要な部分から段階的に合意を形成しながら設計を進めることが重要です。
高度な知見が必要で属人化しやすい
インフラ設計では、ネットワークやセキュリティなど幅広い分野の知識が必要になるため、特定の担当者しか設計内容を理解していない状態になる可能性があります。また、システムの可用性を高めるほど設計は複雑になり、より高度な知識が必要になります。属人化を防ぐためにも、設計内容を文書として整理し、チーム内で共有できる状態を作ることが重要です。
|インフラ設計で失敗しないためのポイント

インフラ設計を成功させるためには、技術的な正確さだけでなく、運用やビジネスの状況も含めて総合的に考える必要があります。設計段階での判断はシステムの安定性や拡張性、将来のコストにも影響するため、慎重な検討が求められます。
- 調達やリードタイムを踏まえて計画を立てる
- 運用負荷を想定してシンプルな構成を選ぶ
- 第三者が再現できる粒度で設計書を残す
- レビュー体制を作り抜け漏れとリスクを潰す
ここでは、インフラ設計で失敗を防ぐために意識しておきたいポイントを解説します。
調達やリードタイムを踏まえて計画を立てる
インフラ設計では、機器の調達や設定作業に必要な時間を考慮した計画を立てることが重要です。システムの開始日が決まっている場合でも、準備に必要な期間の見積もりが必要です。
たとえば、機器の調達や設定作業には一定の期間が必要であり、そのリードタイムを考慮しないとスケジュールに遅れが生じる可能性があります。運用に関する作業でも、事前にメンテナンス告知などの準備期間が必要になることがあります。
そのため、余裕をもったスケジュールを作成し、現実的な計画でプロジェクトを進めることが大切です。
運用負荷を想定してシンプルな構成を選ぶ
インフラ設計では、新しい技術を多く取り入れるよりも、運用のしやすさを考慮した構成を選ぶことが重要です。複雑なシステム構成は、運用開始後の管理負担を増やす可能性があります。たとえば、クラウドサービスではサーバ管理を提供事業者が行うマネージドサービスを利用することで、運用負荷を軽減できる場合があります。運用チームが扱いやすい構成を選ぶことで、安定したシステム運用につながるでしょう。
第三者が再現できる粒度で設計書を残す
インフラ設計では、誰が見ても同じ環境を構築できるように、設計内容を詳細に記録しておくことが重要です。具体的には、サーバやネットワークの設定値をパラメータシートとして整理します。また、操作ログなどの記録を保存しておくことで、トラブルが発生した場合に原因を確認しやすくなります。監査ログを一定期間保存することで、トラブル調査や運用管理に役立つでしょう。
さらに、インフラ構成をコードとして管理するIaCを利用することで、環境を自動的に再現できるようになります。IaCのような仕組みを取り入れることで、作業の再現性を高められます。
レビュー体制を作り抜け漏れとリスクを潰す
インフラ設計では、1人で内容を決めるのではなく、チームでレビューを行う体制を整えることが重要です。複数の視点で設計内容を確認することで、抜け漏れやリスクを早い段階で見つけられます。
設計の段階で問題を発見できれば、大きな手戻りを防ぐことにもつながります。関係者で設計内容を共有しながら確認を進めることで、より安定したシステムを構築できるでしょう。
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インフラ設計とは、サーバやネットワークなどのIT基盤を計画し、システムが安定して稼働するための仕組みを設計書として整理する重要な工程です。
システムの信頼性や拡張性、運用コストにも影響するため、インフラエンジニアの中でも専門性の高い役割といえるでしょう。クラウドや自動化など新しい技術の活用も進んでおり、今後も需要が期待される分野です。
インフラ設計のスキルを身に付けることで、システムの品質や安定性に直接関わる仕事を担当できるようになり、エンジニアとしての市場価値を高めることにもつながります。
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